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第24章 物い買 章62第
せっかくやる気を出したんだ。その意欲をここで殺したく無い。
「今度は目、染みたりしねぇから」
「……………」
「やるか……?」
鶏肉を切るだけの作業を促す。するとゆっくりと桜が頷いた。
「どれくらいの大きさですか…?」
「一口大、だな」
それってどれくらい……?って顔をしながら、不安そうに俺を見上げる。
言葉にすればいいのに表情で読み取らせようとしている。
まぁ本人は無意識かもしれないが。
「これくらい、だな」
スッと包丁を取って鶏肉を切ると、桜は素直に「分かりました」と返事をしている。
「あと、まぁ、こういう白い所は取っておいた方がいい」
筋の部分を切ってそのまま包丁を桜に渡す。
慣れない包丁さばき。
動きがたどたどしすぎて、指を切ったりしねぇか怖くて仕方がない。
「見過ぎ……です。気が散る」
「ん、あぁ〜…悪い」
心配しすぎて甘やかしすぎかもしれない。
分かっちゃいるが……。
こういう時、ある程度は放っておくのがいいんだろうが、教えるよりもそっちの方が遥かに難しく感じる。
炊飯器の方にいきながら、チラッと桜を見る。
二人の昼飯を作るだけとは思えないほど真剣な顔をしている。
こいつも成長しているんだろう。
まだ心配ではあるが、ここに立って料理する桜の姿は悪くない。
心を鬼にして、なるべく手は出さないようやり方を教えると、いつもの倍の時間掛かって目当てのオムライスが出来上がった。