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第24章 物い買 章62第
「何より、台所に立つお前の姿が悪くなかった」
「……どういうことですか」
「うーん」
天井を見ながら言葉を探す。
だが、イマイチいい表現が見つからない。
「……なんか良かった」
俺のテキトーな返事に桜は顔を顰めている。
不機嫌になるようなところじゃないんだが……
「あれだな。桜が俺になんか作ってくれてるっていう、そういう状況も悪くねぇなって思ったって、ただそれだけだ」
言いながら、よく考えれば桜は一言も『俺のため』だなんて言っていなかったわけで。
なんか自惚れた発言したか……?
途端に恥ずかしくなって俺も誤魔化すように残りのオムライスを口へと運んだ。
「………店長って、何が好きなんですか」
曇りのない瞳で見つめられて、うっ…と言葉を飲む。
何故なのか、試されているような……
「何が…って?」
「食べ物、です」
「あぁ」
変に勘ぐった俺は桜の言葉に拍子抜けしながら、オムライスを食べ終える。
これは……やっぱ自惚れてたわけじゃないって思っていいんだろうか。
「カレー、とハンバーグ、だな」
料理初心者が作りやすそうなものの定番を伝えると、桜はあからさまにホッとした表情を見せた。