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第24章 物い買 章62第
「たば…こ…」
「……ん」
「からだに…わるい…か……ら」
「あ…ぁ……」
言い返すことはできず俺は寝言のような桜の声をじっと聞く。
「……長生き…やくそ…く……ね」
「────────………」
ポロっと口からまだ火をつけていないタバコが落ちる。
瞬きを繰り返す俺とは裏腹、桜はその言葉を最後に、完全に目を瞑って眠りについている。
「っ………まじかよ…」
もしかして、たった今俺は、桜から禁煙を言い渡されたんだろうか。
いや……
桜は「禁煙」とは言っていなかった。が………
頭をかきながら、俺は床に落ちたタバコを掴んで再び咥える。
何もかも突然。
もしかして、テレビでタバコの特集でもやってたのか、と思って番組表を見ると案の定で俺は落胆した。
余計なことしてくれた………。
構わず咥えているタバコに火をつけようとしたところで桜の言葉が頭の中でこだまして手が止まる。
───────── 私より先に死なないで欲しい
───────── 長生き…やくそ…く……ね
「っ〜〜〜〜〜…!」
ライターの火を消して、タバコを口から外した俺は、そのまましばらくベッドの上で頭を抱えていた。