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第25章 ち持け掛 章72第



「て、てんちょぉ……」


「な、なんだよっ……」


「………今の言葉はっ……!!!! やばい……!!! なんなんですか店長!?!? 私の思ってる数万倍桜さんのこと好きなんですね!?!? いや好き、と言うかこれはもう、愛???? はぁぁぁぁっ…胸がキュンキュンして…あぁぁぁっ…やばいっっ……」



「…………………………………」



別の方向で喚き散らし始めた葵に、本能的に避けようとしている。


見えないフリ、聞こえないフリをして俺は洗い場へとジリジリと動く。


やっぱり葵は変わってる。


今まであったどの人間のタイプにも当てはまらない。


最近の若いやつってこんな感じなんだろうかという考えが一瞬頭をよぎるがそんなわけないだろうと自分に言い聞かせてる。



「ほんと素敵でした! 直接桜さんにも伝えてあげてくださいね!!!」


「いや……こういうことは別に言う必要────」


「─── あと、『他にいい奴が現れたらどうとか』って言ってましたけど、そんな人現れませんし、万が一現れても店長は桜さんを手放しちゃダメですよ!」



完全に葵独自のペースでペラペラと話している。


なんで大学生の……ひと回り以上も年の違うやつにこんな説教じみたことを言われなきゃならねぇのか……。


それに、手放しちゃダメっつったってそうなったらもう俺だってどうすることも出来ないだろ…と思うが。



反論するのも面倒で適当に返事をした俺はそのまま何故か悶々としたまま、店の締め作業を続けた。







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