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第26章 惑疑 章82第




早くに目が覚めて、目を擦りながら天井をぼんやりと眺めた。



ゆっくりと手を横に伸ばし、隣を確認するが別に何もないし、誰もいない。



あれから数日経って、やっとこの日が来た。


体を起こした俺はトイレに行き、その帰りにカーテンを開けて光を浴びた。


妙に体が浮ついている。


今日は久々に桜がシフトに入る日だ。


4日。


考えなくても、大した日数でもないというのは頭で分かってはいるのだが、やたらと長く感じた。


LINEを開くと2日前に、「大丈夫か?」と送って「大丈夫です」とだけ会話した記録だけが残っている。


説得力のない言葉。


早く顔が見たい気持ちと、休んでほしい気持ちが相まる。


コーヒーを淹れながら、あれこれと思いを巡らせる。


ほんと、体壊してねぇといいが。


………つーかそこまでしてこっちの仕事に無理に入ってもらう必要もない。


そりゃ、顔は見たいがそんなの俺のエゴでしかないような気がしてきた。


店長としてというより、彼氏として、ここは無理すんなってことをちゃんと伝えた方が……



「葵と2人でどうにかなるから、今日も無理して来なくていいぞ」



そう文面を打つと胸がざわついた。


これで『じゃあお言葉に甘えて』って展開になったら……


まぁそれはそれでいい…か。そもそもそうした方がいいと思っての言葉だったはずだ。

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