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第6章 子迷 章6第
ソファーの背もたれに手を付きながら、すっかり寝入ってしまった桜を立ったまま見下ろした。
気付いて欲しいと思いながらも、こうやって気付かない時にしか、言い出せない。
しかも、「お前に向けた花だ」なんて、そんな事言ったって、自分の名前の花言葉すら知らない桜に伝わるわけがねぇ。
あまりに臆病な自分に呆れる。
まぁでも、今はこれでいい……
そう思いながらも、無防備な桜の姿にトクンと胸が鳴る。
先ほどチラと見えた胸元。
ダボついた袖。
さっき話してた時は別にどうってことなかったのに、自分のワイシャツを着てるってことを意識したらさらに胸がバクバクと鳴り出したのが分かった。
「ん……」
「──────っ…」
小さく声を漏らした桜が寝返りを打つ。
すると再び胸元がはだけそうになって、俺はゴクりと唾を飲んだ。
完全に生殺しだ。
「もう少し警戒しろよっ…」
むしゃくしゃしながら、頭を掻く。
でもどうしても雑念が払い切れない。
再び見下ろして桜を見つめると、微かに寝息が聞こえる。
そんな無防備な桜に
俺はゆっくりと手を伸ばした。