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赤い花~情欲の檻~
第2章 MemoriesI
「安浦さんは、仕事よりも恋を選びたかった?」
口にしてしまってから、ハッとした。あまりにも立ち入りすぎる質問だ。
しかし、沙織はうっすらと笑んだまま応えた。
「もちろん。まあ、大人の女―しかも、子どもがいる家庭持ちにはいささか感心できないことだけど、それでも、私は彼を本気で愛していたの。息子には口が裂けても言えないけれど、もしかしたら、我が子さえ棄ててでも貫きたいと思った関係かもしれないわね。でも、彼はそんな私の思惑をよそに、身を退いた。
口にしてしまってから、ハッとした。あまりにも立ち入りすぎる質問だ。
しかし、沙織はうっすらと笑んだまま応えた。
「もちろん。まあ、大人の女―しかも、子どもがいる家庭持ちにはいささか感心できないことだけど、それでも、私は彼を本気で愛していたの。息子には口が裂けても言えないけれど、もしかしたら、我が子さえ棄ててでも貫きたいと思った関係かもしれないわね。でも、彼はそんな私の思惑をよそに、身を退いた。