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赤い花~情欲の檻~
第2章 MemoriesI
 沙織はふっと笑う。
「おばさんの昔話なんて聞かされて、つまらないでしょ」
「いえ、そんなことは」
 心にもないことを言うと、沙織はまた笑った。
「社内恋愛禁止の会社にいる以上、禁を破れば、罰せられる。もし、あなたがそれでも恋を貫きたい、大切なものだと思うのなら、早めに結論を出すことね」
 沙織の真摯な視線が美華子を射貫く。
「会社を止めて木梨君とさっさと結婚するか、それとも、恋よりキャリアを優先するのなら、木梨君とはきれいに別れるべきだわ。愚図愚図して結論を先伸ばしにしていると、私のように大切なものを失うことにもなりかねないのよ」
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