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赤い花~情欲の檻~
第2章 MemoriesI
 最初、これまでとまったく違う一面を見せた彼に、美華子は大いに戸惑った。が、惚れた弱みとでも言うべきか、彼が自分にだけ素顔を見せるのは、自分が彼にとって他ならぬ特別な存在、心許せるからだと良い方に解釈するようにした。
 幾ら美華子の前では傲岸にふるまい、多少の我が儘を言ったとしても、美華子の祥吾への気持ちが変わることはなかった。
 かといって、自分が祥吾を好きなだけ彼もまた自分を好きなのかと問われれば、正直自信はない。何と言っても福山雅治似の男の傍にいて、似合いだと思われるようなタイプではないのは判っている。
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