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赤い花~情欲の檻~
第1章 序章~砂漠にて~
生まれてくるときも一人、死に逝くときも一人。それが人間の本来あるべき姿なのだと言ったのは誰だっただろう。愚かにも私は、その当たり前すぎることを知らなかった。いや、もしかしたら、本当は知っていたのに、現実を知るのが怖くて、わざと知らないふりをしていたのかもしれない。彼―祥吾に対する気持ちが本当は愛情ではなかったのに、彼を愛しているのだと自分に無理に思い込ませてきたのと同じことだった。
それが、この体たらくだ。故国から遠く離れた異国の砂漠でたった一人、私は生と死の狭間をさまよっている。灼熱と熱風の支配する砂漠は、まさに私にとって死の象徴に思えた。だが、今の私には、死は安息をもたらしてくれるもののようでもある。
それが、この体たらくだ。故国から遠く離れた異国の砂漠でたった一人、私は生と死の狭間をさまよっている。灼熱と熱風の支配する砂漠は、まさに私にとって死の象徴に思えた。だが、今の私には、死は安息をもたらしてくれるもののようでもある。