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赤い花~情欲の檻~
第2章 MemoriesI
 ハイヒールの音を規則的に廊下に響かせ、エレベーターのボタンを押す。丁度上から降りてきているエレベーターは美華子の待つ五階で止まった。
 誰も乗っていないことを期待したのだが、生憎と先客がいた。しかも、美華子の大の苦手な商品企画部長である。
「一ノ瀬さんも今、帰り?」
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