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甘党な愛
第10章 十
「良いけど……どうぞ」
「じゃあ、こっちもやる。ほら」
「あ、ありがと……」
呆然としたまま一口サイズにパンケーキを切って八雲の方の皿へ置くと、八雲もパンケーキを一口サイズに切って私の皿へ置いた。その言動にお礼を言い、漸く私はパンケーキを食べ始める。
「……おいし~い……」
美味しい。やっぱり当たりだった。幸せ。……でも、そんな感動よりも八雲のギャップに驚き過ぎて、パンケーキを食べふにゃりと微笑みながらも八雲のことが気になって仕方なく、八雲から目が離せない。
「うまっ」
目の前で幸せそうにパンケーキを食べる八雲。その顔にはうっすらと笑顔が浮かんでいる。誰だこいつは。普段の八雲じゃない。悪魔じゃない……ただの乙女だ。