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甘党な愛
第25章 エピローグ
* * *
夕方に恵と葎が帰って来ると、リビングに入るなり恵が不思議そうに聞いてきた。
「あれ?何かチョコの匂いしない?」
「……そうか?別に私はしないけど」
「あ!椿ちゃん、口にチョコ付いてる!やっぱり食べたんじゃん!」
「えっ?!」
恵から急に唇を指差されると、慌てながら両手で唇を隠すが。
「……八雲君もついてるよ。チョコ……」
葎が八雲の方を見ながら言うと、並んで立っている八雲と一緒に目を合わせながら、体を強張らせた。
「……!」
「ヤバい、八雲……」
そんな私達を怪しい目で見てくる恵。
「もしかして二人……」
ヤバい!キスしてたのバレたか?!……そう思ったが。
「またこっそりチョコ食べて~。仲良いよね~」
その言葉にほっと安心する。良かった。気付かれなくて!
「じゃあ、皆で夕飯食べ行くか?」
「うん!そうしよぉ~」
八雲の言葉に恵が笑顔で頷き、皆玄関へ向かって歩き出す。しかし――こっそり葎が私へ耳打ちしてくると、私はまた固まった。
「昼間からラブラブだね。羨ましいな……」
「……?!」
これは、どういう意味だ?!まさか葎、気付いて……?!
「違う!私達は何もしてない!」
慌てて言い訳するも、葎は優しく微笑みながら歩き始める。無言が怖い。いつも葎の無言は……。
「本当に!違うんだ!」
そのまま私は顔を真っ赤にしながら、皆の後を追った。
「でも、本当懐かしいよね~。皆で屋敷に住んでたことが。椿ちゃんも八雲もいつでも遊びにおいでね!」
「ありがとう、恵!」
「俺も早く結婚したくなっちゃったな~。お見合いしよっかな~」
リビングを出ながら恵がそう言うと、葎もボソッと呟く。
「俺も……」
「?!」
意外だ。あんなに結婚を嫌がっていた恵も、葎も結婚願望が出てきたなんて。やはり八雲がしたことが一番大きいのか?
「椿ちゃん、またマカロン作ってあげるね!」
「ありがとう……」
何だがこうしていると屋敷にいたことを思い出して泣けてきた。不運なことばかりだと思っていたけど今思えば……
「屋敷にいた思い出は、私の宝物だ」
私が目を潤ませながら話すと、三人は微笑む。そして……八雲が私へ近寄ると私の頭を優しく撫でた。
「また日本に帰ったら、遊びに行こうな」
「うん!」
end...