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甘党な愛
第12章 十二
体から力が抜けそう……。このメイド服のせいで……。
「ん……あ……」
目を閉じて、諦めかけた。しかし、ドアの向こうから冷たい声がすると、
「おい葎、開けろ。開けねーと、お前も病院送りにすんぞ」
私は顔を青ざめ、葎も行為を止めた。……これは八雲の声。やはり葎も八雲には逆らえないのか。
「……」
そのまま無言で鍵とドアを開ける葎。すると、ドアの前に恵と八雲の姿があり、私はほっと安心した。……八雲は明らかにぶちギレていたが。
「椿ちゃん、大丈夫?」
心配そうな顔で聞いてくる恵に頷くと、続けて八雲から冷たく話し掛けられる。
「お前……そんな格好するからだろーが……」
「ごめん……」
びくびくと震え上がりながら、私は目に涙が滲んできた。いつもバカにされるから女扱いして欲しかっただけなのに。でも、自業自得だ。
「ごめん、椿さん……」
後ろから申し訳なさそうな葎の声がする。けど、私は葎の方を振り返れず、返事も出来なかった。怖かった……。こんなことされるぐらいなら、女扱いなどされないままで良い。
「着替えてこい」
八雲から低い声でそう言われると、私はもう一度頷き葎の部屋を出た。