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甘党な愛
第24章 二十四
何が正解なのか分からないが、私達はしたいことをして生きると後悔しない様な気がする。
「椿、後二日後だな。荷造りは済んだか?」
屋敷に行った日から4日後の夜。自分の部屋で荷造りをしていると、星窪がノックもせずに入ってきた。
「……もう、終わる」
「そうか。社長もお前が行くと言って喜んでいたからな。たまには日本に帰ってこれるし、土産頼んだぞ」
「たまに、日本に帰ってこれるのか……」
ベッドに広げた衣類をベッドに座ったままスーツケースに直しながら、星窪の言った言葉をぼそっと呟くと、頭に八雲のことが浮かんできた。
「たまに帰ってこれるなら、八雲に会えるな……」
でも、あれから八雲から連絡はない。私からもしていないが。……これってやっぱり別れたってことか?
「台湾は食事も美味しいし、夜景も綺麗だぞ!たまに俺も遊びに行くからな!」
「星窪は来なくて良い……」
「ちょうど良かったな!彼氏も作ってこいよ!」
「彼氏は……いたんだけどな……」
私よりも、星窪の方がウキウキして楽しみにしている気がする。変わってくれるなら変わって欲しい。
「星窪。台湾って、最低五年いるんだよな?」
「そうだ」
五年も経ったら、私は26歳。八雲は……もうオッサンか。五年もあれば、八雲なら誰かいい相手を見つけて、結婚するかもしれない。
「結婚か。それは嫌だな……」
何故だろう。さっきから八雲のことばかり考えている。屋敷を出てからずっと、頭から八雲が離れてくれない。
「じゃあな、おやすみ、椿」
「ちょっと待って。星窪に、折り入って頼みがある!」
上機嫌で部屋から出ていこうとする星窪。私はベッドから急いで降りると、その腕を衝動的に掴んでいた。