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甘党な愛
第24章 二十四
――一年後。私は言われた通り、台湾にいた。併設された新工場の工場長として五年の実績を積むことを条件に、後四年後には会社の代表取締役になる予定である。しかし、それは私ではなく……。
「八雲、見てくれ!夜景が綺麗だ!」
高層ビルの中にある2LDKの部屋。そこの窓ガラスから見える夜景を窓の前に立ったまま見ながら、私はリビングのソファに座っている八雲へ手招きする。
「毎晩見てんだろーが」
「でも、毎晩綺麗だと思う程綺麗なんだ!」
「……仕方ねーな」
相変わらず私のことを冷たく睨むも、八雲は仕方なさそうにしながらこちらへ近付いてくると、私の体を後ろから抱き締めつつ夜景の方へ視線を向けた。
「本当、信じられねーな。お前とこうしてることが」
「まさか二人で台湾にいるなんてな!」
夜景を二人で見ながら八雲がぼそっと呟くと、私は笑顔で八雲の方を振り返る。すると八雲は私の額へ口付け、穏やかに微笑んだ。
「これもお前のおかげだ。ありがとな」