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甘党な愛
第7章 七

っ……!?一緒に見ようって、夜逃げしてる最中なのに!逃げられなくなったらどうする!というか、この人誰!
「お構い無く……もう、行きますので……」
「行く?何処に?」
「ええっと……」
「買い物?」
左手を離して貰おうと後退りするが、目の前の人物は私の手を繋いだまま。……早く手を離して欲しいのに。夜逃げが……。しかし、この声聞き覚えがあるような……。
「……あー、本当月が綺麗……ねぇ、椿ちゃん」
「……」
「月なんて見たのいつぶりかな。椿ちゃんが来てから、俺変わってる気する」
「あの……」
頭が回らなくなりながらも隣で聞こえてくる穏やかな声と繋いだ手の体温が暖かく、すさんでいた心が浄化した様な感覚になる。

