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甘党な愛
第8章 八
* * *
翌朝、私は目を覚ますとメイド服に着替えて、キッチンで朝食の用意を始めた。昨夜のことを思い出すと、恵も後嶋も私を騙したことに対して悪気はなかったのかと思って、リュックからも今朝着替えを取り出した。八雲は……嫌いだけど、恵と後嶋の世話ならしても良いかもしれない。八雲は嫌いだけど。
「――おい、メイド。この味噌汁、味噌が濃いな」
30分後、食堂の椅子に座り出来た朝食を食べていると、左側に座っている八雲から偉そうに言われ、思わずチッと舌打ちした。恵も後嶋も文句言わず食べているのに、こいつは……。
「私の料理が嫌なら私をクビにしたら良いんじゃ……」
味噌汁と箸を持ったまま本音をこぼすと、すぐに八雲から鬼の形相で睨み付けられる。
「あ?メイドの分際で反論してんじゃねーぞ?」
「っ……す、すぐそうやって脅すから、親からも見放されたんじゃないの!八雲、更生する為にここへ送り込まれたんでしょ!」
おどおどしながらも言った後、しまったと思った。八雲が更生する為に屋敷へ来たということは、後嶋から聞いたから。私に話したと後嶋が責められるかもしれない。後嶋も怒ったかも。
「藤咲さん……」
案の定、目の前の椅子に座っている後嶋は不機嫌そうに私を見ていた。