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蛍の想ひ人
第3章 る
「由布子さん、今日は一緒に帰れる?」
平日は週に2回ほど由布子さんの就業時間前に社の方に電話を入れる。
「信之さぁ」
いまだに、由布子さんに『信之』と言われるとドキドキする。
「なに?」
「あんまり会社に電話してこないで」
「由布子さん~。照れなくていいんだよ」
「照れてないし!」
「付き合ってるんだから、電話するの当たり前だろ?」
軽口を叩いて、アフター5の約束を取り付ける。
由布子さんの会社は中小でそんなに忙しくない。
6時まで残業すれば帰宅することが多い。
前もってデートの約束が出来ればいいけど
その日になってみないと俺が6時に上がれるか分からない。
6時ごろ上がれそうな時に由布子さんの会社へ電話をする。
俺は週に2回ほど6時に帰るために
他の日は終電まで仕事をして帳尻を合わせた。
「涙ぐましい努力だな」
新田の言い方はいちいち引っかかる。
「加賀のその努力は、由布子さんは知らないんだろうな」
「いいんだよ。知らなくて」
「ふ~ん」
努力をして会えるなら、安いもんだ。
今までは努力をしても会えなかった。
平日は週に2回ほど由布子さんの就業時間前に社の方に電話を入れる。
「信之さぁ」
いまだに、由布子さんに『信之』と言われるとドキドキする。
「なに?」
「あんまり会社に電話してこないで」
「由布子さん~。照れなくていいんだよ」
「照れてないし!」
「付き合ってるんだから、電話するの当たり前だろ?」
軽口を叩いて、アフター5の約束を取り付ける。
由布子さんの会社は中小でそんなに忙しくない。
6時まで残業すれば帰宅することが多い。
前もってデートの約束が出来ればいいけど
その日になってみないと俺が6時に上がれるか分からない。
6時ごろ上がれそうな時に由布子さんの会社へ電話をする。
俺は週に2回ほど6時に帰るために
他の日は終電まで仕事をして帳尻を合わせた。
「涙ぐましい努力だな」
新田の言い方はいちいち引っかかる。
「加賀のその努力は、由布子さんは知らないんだろうな」
「いいんだよ。知らなくて」
「ふ~ん」
努力をして会えるなら、安いもんだ。
今までは努力をしても会えなかった。