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蛍の想ひ人
第3章 る
「分かった。もし彼女に振られたら、また教えてね」
そうあっさりと手を振って帰って行った。
「あの子、お前に本気だったろ?」
「あ?」
お互い本気にならない関係、そんなスタンスを俺たちはくずした事はない。
「まさか。お互いに遊び相手だぞ?」
「・・・・」
「まさか」
後姿の吉村ちゃんをじっと見つめる。
「加賀って由布子さん以外の女の気持ちに鈍感だよな」
「鈍感って・・・」
「由布子さんの気持ちは敏感すぎるほど敏感なのにな」
「・・・・」
そんなことねぇよ。
由布子さんの気持ちは知りたくて知りたくても、分からない。
新田は散々呆れた顔をして大きくわざとらしいため息をついた。
そしてその後にまたわざとらしく大ぶりで俺と肩を組んだ。
「兄貴に、罪悪感を感じる必要はねーよ」
「・・・・」
「加賀は十分待ったよ」
「・・・・」
「毎年毎年、涙ぐましい程にクリスマスディナーを予約していたものな」
ニヤニヤするその顔に俺は舌打ちした。
「そのおかげで、新田も結婚できたんだろーが?」
「かもな。感謝してるよ」
「だろ?」
「だからさ」
急に新田は真剣な目をして言う。
「ん?」
「だから、罪悪感なんか感じなくていいんだと思うよ」
「・・・・」
「加賀の兄貴も許してくれるよ」
新田のその言葉が唯一の慰めになった。
そうあっさりと手を振って帰って行った。
「あの子、お前に本気だったろ?」
「あ?」
お互い本気にならない関係、そんなスタンスを俺たちはくずした事はない。
「まさか。お互いに遊び相手だぞ?」
「・・・・」
「まさか」
後姿の吉村ちゃんをじっと見つめる。
「加賀って由布子さん以外の女の気持ちに鈍感だよな」
「鈍感って・・・」
「由布子さんの気持ちは敏感すぎるほど敏感なのにな」
「・・・・」
そんなことねぇよ。
由布子さんの気持ちは知りたくて知りたくても、分からない。
新田は散々呆れた顔をして大きくわざとらしいため息をついた。
そしてその後にまたわざとらしく大ぶりで俺と肩を組んだ。
「兄貴に、罪悪感を感じる必要はねーよ」
「・・・・」
「加賀は十分待ったよ」
「・・・・」
「毎年毎年、涙ぐましい程にクリスマスディナーを予約していたものな」
ニヤニヤするその顔に俺は舌打ちした。
「そのおかげで、新田も結婚できたんだろーが?」
「かもな。感謝してるよ」
「だろ?」
「だからさ」
急に新田は真剣な目をして言う。
「ん?」
「だから、罪悪感なんか感じなくていいんだと思うよ」
「・・・・」
「加賀の兄貴も許してくれるよ」
新田のその言葉が唯一の慰めになった。