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蛍の想ひ人
第1章 ほ
「今夜は祝いで飲みに行くか」
部に帰る廊下で新田が誘うけど
「ん?いいよ。新田は帰れよ。家で洋子ちゃんが待ってるだろ」
新婚の新田は、きっと今日の昇進をお祝いするために奥さんの洋子ちゃんが
ご馳走を作って待っているはずだ。
内示を受けていたとはいえ、バブル入社の俺たちは同期が多すぎる。
それだけ、限りあるポストの椅子取り合戦は熾烈なものになるはずだ。
「加賀は・・・由布子さんか?」
不機嫌な声を出さないように気を遣っているつもりなんだろうけど
新田、不機嫌さが隠されてないよ。
こいつの素直さは強みでもあり弱点でもある。
いつの日か、こいつが俺より上に行くのならば
俺はこいつのその素直な部分がデメリットになるとき
―――必ず支えてやる。
こいつの素直さに触れるたびにそう思う。
「あぁ。主任になったら由布子さんがご馳走してくれるって言ってたからな」
俺は無理してニヤッと笑う。
「・・・・そうか」
「おぅ」
俺は、もう何年も由布子さんに片思いをしてる―――
部に帰る廊下で新田が誘うけど
「ん?いいよ。新田は帰れよ。家で洋子ちゃんが待ってるだろ」
新婚の新田は、きっと今日の昇進をお祝いするために奥さんの洋子ちゃんが
ご馳走を作って待っているはずだ。
内示を受けていたとはいえ、バブル入社の俺たちは同期が多すぎる。
それだけ、限りあるポストの椅子取り合戦は熾烈なものになるはずだ。
「加賀は・・・由布子さんか?」
不機嫌な声を出さないように気を遣っているつもりなんだろうけど
新田、不機嫌さが隠されてないよ。
こいつの素直さは強みでもあり弱点でもある。
いつの日か、こいつが俺より上に行くのならば
俺はこいつのその素直な部分がデメリットになるとき
―――必ず支えてやる。
こいつの素直さに触れるたびにそう思う。
「あぁ。主任になったら由布子さんがご馳走してくれるって言ってたからな」
俺は無理してニヤッと笑う。
「・・・・そうか」
「おぅ」
俺は、もう何年も由布子さんに片思いをしてる―――