この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蛍の想ひ人
第7章 人
由布子さんの唇を親指でなぞる。
「愛してるよ」
何度飲み込んだか分からないその言葉を
思う存分、口にする。
「由布子さん、愛してるよ」
相手の反応を確かめるための告白じゃなくて
俺の気持ちを伝えたいためだけの告白をする。
大きな窓のその部屋は、眼下に広がる横浜湾が
月の光を反射させ、部屋の中まで明るかった。
大きなダブルベッドに彼女を横たわらせ、彼女の顔の両端に手を突き上から見下ろす。
「由布子さん、愛してるよ」
「私も。愛してる」
様々な思いが頭と心を駆け巡る。
それはきっと由布子さんも同じだろう。
お互いに何もない、恋人同士のようにはいかない。
でも、それでも兄貴とのあの時間があって今の由布子さんで
兄貴がいなければ俺は由布子さんに出会えなかった。
ゆっくりとキスをしながら彼女を抱きしめる。
俺の重さを彼女に押し付ける。
俺だけを見て。
その言葉を言うのは容易ではない。
兄貴を裏切っているようで俺も由布子さんも切なくなるから。
それでも、
「この瞬間だけは俺だけを見て」
なぁ、兄貴。
この瞬間だけはどっか行っててくれよ。
「愛してるよ」
何度飲み込んだか分からないその言葉を
思う存分、口にする。
「由布子さん、愛してるよ」
相手の反応を確かめるための告白じゃなくて
俺の気持ちを伝えたいためだけの告白をする。
大きな窓のその部屋は、眼下に広がる横浜湾が
月の光を反射させ、部屋の中まで明るかった。
大きなダブルベッドに彼女を横たわらせ、彼女の顔の両端に手を突き上から見下ろす。
「由布子さん、愛してるよ」
「私も。愛してる」
様々な思いが頭と心を駆け巡る。
それはきっと由布子さんも同じだろう。
お互いに何もない、恋人同士のようにはいかない。
でも、それでも兄貴とのあの時間があって今の由布子さんで
兄貴がいなければ俺は由布子さんに出会えなかった。
ゆっくりとキスをしながら彼女を抱きしめる。
俺の重さを彼女に押し付ける。
俺だけを見て。
その言葉を言うのは容易ではない。
兄貴を裏切っているようで俺も由布子さんも切なくなるから。
それでも、
「この瞬間だけは俺だけを見て」
なぁ、兄貴。
この瞬間だけはどっか行っててくれよ。