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もう私、生徒じゃない
第4章 怯えた彼女
「あい」と言うのはどんな字を書くのだろうかと

ずっと気になっていた。

オーソドックスに「愛」かもしれないし

漢字二文字で「亜衣」かもしれない。

他にも「あい」という読み方をする名前は

当て字も含めればたくさんある。

その中で、彼女の名前は「藍」だった。



手の力が抜けていき

名簿はパラパラと自宅のフローリングに落ちる。

暫くそのまま動けなかった。



記憶を引っ張り出したせいか

思い出したくないことまで思い出して

そんな自分に苦笑する。

いつのまにか階段は登り終えていて

登りきった所から足は動かなかった。



普通なら視界の中に入っている筈の俺に

彼女は全く気づいていない。

ぐっと自分で自分の身体を抱いて震えている。

そんな彼女のことなど知らない男たちの話は終わらない。
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