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もう私、生徒じゃない
第8章 知らない場所で
ネクタイを解き終わると

彼女はぺたりと座り込んでしまった。

不特定多数の人間が利用するトイレの床は汚い。

直接座るのは衛生上良くないと思いつつも

彼女になんて声をかけていいかわからない。



ひとまず立ち上がらせようと手を出すと、

その手にビクンと反応し自分の身体を

強く抱いて俯いて震えている。



取り逃がした男の顔を思い出し

頭に血がのぼるのがわかったが

必死に抑え込んで彼女に声をかける。



「とりあえず立ち上がれるかな?」



彼女は小さく頷くと俺の手を取って立ち上がる。

ひとまず移動しようと軽く手を引くと

ゆっくりとだが彼女が歩き出した。
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