この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
園主の嫁取り(くすくす姫サイドストーリー)
第3章 長老会議

……サクナはそこまで思い出すと、あの日の思い出に耽るのを止めました。


今日はサクナが会議を招集しました。
あの時、会議を召集した長老連中は、目的を果たすことができませんでした。
反対する長老の前で園主は朝食のときと同じことをサクナにやらせ、果物細工を刻ませました。
それを見た長老達は二の句が告げなくなり、サクナは暫定の跡継ぎ候補と認められる事になったのです。

その後も何度か、跡継ぎであるサクナの首を挿げ替えようとする会議が招集されました。
先代が存命の間も、亡くなった後も。
亡くなった後は手段を選ばず陥れようとしてくる時もありましたが、最近は少なくなりました。
比類無き才能を持つサクナを引きずり降ろすよりも、自分の息の掛かった嫁を取らせることに、矛先を変えた為です。

『いいか、サクナ。力を欲する連中は、そいつらがお前に仕掛けてくる力を利用して、徹底的に捻じ伏せろ』

最初の会議の後の先代の言葉が、脳裏をかすめます。

『お前は俺が認めた、俺以上の天才だ。自信を持て。あいつらは絶対にお前に叶わねえ。お前には物事をやってのける力がある。お前は選ばれた者――滅多に居ねぇ、果物に愛された人間だ』

「サクナ様」
「クロウ」
「お茶をお持ちいたしました。会議の前に一息お入れになってください。ほとんど寝ておられないでしょう」
「悪ぃな」
家令はお茶を注ぎ、サクナの前に置きました。
カップを口に近づけると、果物で香り付けがされているのが分かりました。
「今年の洋梨はまあまあみてぇだな」
「御意にございます」
「クソッ……全部を見回る時間が、取れねぇな」
溜まった書類仕事とサクナでなくてはならない案件の指示だけで、もう三日経っておりました。
姫を待たすのも心配ですし、淋しい思いをしているでしょう。
ハンダマ王子の婚礼も近づいています。
それより何より、サクナ自身が、姫に会えないということが、思いのほか堪えておりました。

(クッソ……触りてぇ……髪だけでもいいから、撫でてぇ)

スグリ姫の、不思議と落ち着く薄茶色の髪の手触りが思い出されて、サクナは姫の髪を一房貰っておいたら良かった、と思いました。

(……いやいや。髪だけじゃ意味ねえだろ、本体が無きゃ……俺も、相当キてるな……)

溜め息を吐いて目頭を揉むと、サクナは会議までしばらく目を閉じて、休息することに決めました。
/13ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ