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雪の日に祝福を・・・。
第1章 手記
世の中は、全くもって不公平で出来ているモノだ。私の世界もご多分に漏れず不公平で不平等な世界だ。
幼い頃から両親の関心は、妹にあった。初めは、気にも留《ト》めないでいた。
《 《
「あぁ~」
肌寒い昼下がりに妹の泣き声が壁越しに訊こえる。
「瑠々《ルル》~」
「どうかしたの?」
隣の部屋に行くと泣いている妹を母が抱っこしていた。
「ああ、月依《ルイ》。
タクシーを呼んでくれる?」
「また・・・熱?」
どうやら妹は、また体調不良のようだ。
「ええ、もの凄く高いのよ。早く病院に連れて行かないと・・・」
「判った、電話してくる。」
部屋を出て覚えてしまった番号に電話をかけて自宅前へとタクシーを頼んだ。
「そうだ、お父さんにも電話をしておいて。」
部屋から更に依頼する。
「はーい。」