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雪の日に祝福を・・・。
第1章 手記
慣れた手付きで短縮ダイヤルを押す。
「留守電もいいからいつもの病院に行くって入れておいて。」
「はい。」
呼び出し音を訊きながら母に返事をする。
「もしもし。」
「あっ、お父さん。月依だけど・・・」
「どうした?お父さんこれから商談に行かないとイケないんだが・・・」
「忙しいのにごめんなさい。」
父の反応が気になりすぎて謝りを入れる。
「急用かい?」
「瑠々、熱があってお母さんがいつもの病院に連れて行くからって。」
なんとか伝えられた。
「そうか。瑠々の熱は、高いのか?」
「たぶん・・・・・・」
「〝たぶん〟ってなんだ? 〝お姉ちゃん〟だろう。 お母さんを助けて妹の具合の程度くらい把握していなさい。」
結局叱られてしまった。
「ごめんなさい。」
「まぁ、いい。お母さんに変わってくれ。」
「はい。」