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雪の日に祝福を・・・。
第9章 絵画コンクール
「残業続きで寝不足なだけよ。頭痛薬がないとダメなのよ。」
「無理しすぎるな。」
「そう出来たらいいんだけれどね。長年の習慣は、直せないわ。」
「確かにな。」
「今日は、これで帰るわ。」
「またな。」
「ええ。」
席を立ち階段を登り外に出た。
「はあ~もう、春ねぇ。」
夜の街の空気にしては、澄んでいるし柔らかかった。
「月依さん。」
「っ!!?」
訊き覚えてしまった声に背筋が凍り付く思い出視線を前に向けた。
「奇遇だね。姿が見えたから・・・」
「千明、社長・・・」
目の前の道路に黒塗りの高級車が停まり後部座席の窓が開いていま1番逢いたくない人物が顔を見せた。
「あの件は、どうなっているのかな?」
偶然を装っていたが居場所を理解していた。
「もうすぐコンクールだね。終わったら話しておくれよ・・・頼むよ。」