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雪の日に祝福を・・・。
第10章 忍び寄る別れの魔の手
〝寂しかった〟のだと素直には、言えない。
「ごめんなさい。」
「いのよ。」
彼を見つめてにっこりと笑う。
「今日・・・私は、全休よ。」
「なにをしようか。」
柔らかで温かな時間。
「好きだよ。
(ごめんね・・・)」
「私も好きよ。」
抱き合って優しい口づけを交わす。
永遠に続いてほしいと願う燵夜とこれからも続くと考える月依の困惑は、お互いに届いていなかった。
「そうだ。今後の勉強も兼ねて今日は、美術館に行こうか?」
「いいよ。月依さんに任せる。」
「じゃあ、デートね。」
「うん。
(好きだよ。どうしたらいいんだ・・・)」
強く抱き締めて泣きそうなのを隠す。
》 》
私の世界は、〝愛〟などない。
誰とも居られないのが私の人生なのだと思い知ったいまでは、あの日々の温かさが懐かしく愛おしい。