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雪の日に祝福を・・・。
第10章 忍び寄る別れの魔の手
「俺は、それを後悔してる。2人で逃げればよかった・・・と。全てを捨てて・・・」
「俺もそうしたけど・・・術が見付かりません。」
もう戻れない所まで来てしまった。
「燵夜。別れるにしても、よく話し合え。」
「判りました。」
「月依のことは、任せろ。」
小さく姿が痛々しくて見ていられない。
》 》
〝愛する〟とこは、とても残酷。想いが募るほどに残酷になっていく。
彼の想いを私は、知らなかった。私の想いも彼は、知らない。
それでよかった。
同じ道を歩めないのだから。すれ違ったままでいい。私の世界は、不平等で回っているのだから。
》 》
絵画コンクールの受賞発表が間近に迫っている。
「月依さん。」
隣で眠る愛しい人に声を掛ける。
「ん・・・おはよう、燵夜くん。帰るって言っていた日からだいぶ経ったわね。」