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第16章 　雪の日に祝福を･･･。

　　


　自分を選んで応援しくれると言ってくれて誓いのキスまでくれたのに。


　《　《


「おはよう、月依さん。積もったね。」


　縁側に立って稲穂の絵に声を掛ける。

　どれだけ時間が経っても想いは、枯れない。愛も消えない。

　燵夜は、画家として成功し作品制作をする忙しい毎日だ。誰とも付き合うことなくもうすぐ彼女の歳を追い越してしまう。
　こうして枯れず消えない想《ｱ》いを連れて彼女の居ない世界を生きている。

　外は、昨夜遅くに降った雪が積もっている。


『雪は、嫌いよ。』


「大丈夫。俺が傍に居てあげる。」


『そう･･･』


「月依さん、好きだよ･･･」


　それは、もう届かない告白。


『私も。』


　２人は、いまもでもそこに居る。


　》　＊　》　＊


　〝愛〟を求めて最期に愛する人だけを瞳に映して旅立った彼女は、雪の日が嫌いでした。

　だから、今は。今だけは、〝雪の日に祝福を･･･。〟



　　　　━　Ｆｉｎ　━