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雪の日に祝福を・・・。
第4章 呪縛の門出
「月依、待てよ。」
「別々の方がいいよ。そろそろケジメを付けないと。」
「でも、行く所同じなんだし。」
「それでも、私たちの場所じゃないから。」
答えると丁度タクシーが停まる。
「先に行ってるから瑠々を連れて遅れないで。」
「ちょっ、月・・・・・・」
バタン。
「出して下さい。」
返事を訊く前にタクシーに乗り込みドアを閉める。
「お客さん。お1人で良かったんですか?」
「ええ、いいんです。あの人がしつこかったので丁度来てくれて助かりました。」
心配する運転手に自分の動揺を隠してサラリと嘘をついた。
「そうですか。最近は、普通の人に見えても変な気を起こすのが居ますからねぇ。お客さんは、特に美人さんだから気を付けないと。」
「ふふ、ありがとうございます。」
タクシーの運転手の言葉に笑みが零れた。