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雪の日に祝福を・・・。
第4章 呪縛の門出
プランナーと一緒にミーティングルームに入る。
》 *
その頃ようやく相手方の家族が式場に到着していた。
「あなた・・・。」
タクシーを降りてすぐに夫の袖口を掴むがその手が震える。
「大丈夫だ。彼女とよく話しをしよう。」
「でも、悠葵がしたことを許してもらうことなんか出来ないわ。」
「それは、承知のことだ。でも誠意を持って向き合うことが大切だ。」
震える妻に静かに答えたが実は、自分に言い訊かせている言葉であった。
夫婦は、あと1週間に迫った息子の結婚式を楽しみにしていた。しかし息子から訊かされた話しは、耳を疑うものだった。
結婚は、するが婚約者の妹とであること。2人には、すでに子どもが出来ていること。それは、夫婦を心底驚かせた。
そうして元婚約者となった相手から2人の結婚式を行うと連絡が来たときには、もう目眩がしたほどだ。