- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
雪の日に祝福を・・・。
第5章 失った世界の景色
新婚旅行だったから。それも私と行くハズだった旅行にだ。
「若狭くん。」
振り向くと部長が手招きしてくるので席を立ちオフィスに入る。
「最近、調子はどうだい?」
「なんですか。」
結婚式以来腫れ物に触るような態度をしてきた部長が様子を訊いてくるので気味が悪い。
「いや、仕事に集中出来ているかな・・・とね。」
「平気ですが・・・なにか気になることでも私がしていますか?」
含みのある物言いに冷たく言い返す。
「いいや、そうじゃないんだ。色々あったからフォローをしてくれって上から言われて声を掛けた。」
「そうですか。お気遣いありがとうございます。」
「いやいや。部下を心配するのは、当然だよ。」
「(タヌキッ!)」
ハッキリしない物言いがイヤな感じだ。
「仕事頑張って。」