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雪の日に祝福を・・・。
第5章 失った世界の景色
「はい、失礼します。」
さっさと、オフィスを出る。席に戻るとみんなが顔を背ける。
「(ヤな感じ。)」
気にしていない素振りで席に戻った。
》 》
私は、なぜ同じ職場に拘《コダワ》っていたのか。
もしかしたら彼の傍にただ単純に居たかっただけかも知れない。やはり簡単に吹っ切れるほど単純な気持ちでは、なかったようだ。
あの頃バーにさえ行けなかった。マスターに全てを打ち明けたのが原因と言えた。
マスターのモットーは、〝酒は楽しく飲め〟だったからあの頃の精神状態では顔を出せない。
だからかも知れないあの子にかまったのは・・・
《 《
雪降るなか・・・0時を回る前に会社を久しぶりに退社したがタクシーも拾わずにフラフラと夜道を歩く。
「なんでこんなに降るのよ!雪のバカヤロー!!」
シラフで叫んでいるのは、オカシイ人だ。