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雪の日に祝福を・・・。
第5章 失った世界の景色
「そうだけどバーに勤めるって大変でしょ。」
平常心を保ちつつ日常会話を心掛ける。
「あれ、覚えててくれたんですね。」
「えっ?
(あっ・・・)」
口した後に初対面でないことを自ら告白したことに気が付いた。しかし今さら言い訳も出来ない。
「俺も覚えてます。マスターと仲いいですよね。」
「・・・そう、覚えてた。」
屈託のない笑顔に上手く返すことが出来ない。眩しく見える。
「はい。よくいらっしゃいますよね。」
「独身女が1人でバー通いかと思ってた?」
「まさか。来られたら付くようにしてたんですよ。」
少しムキになって返してしまった。
「そうだったんだ。あそこは、私が唯一行く場所なのよ。」
ムキになっている姿が可愛らしくてなぜか会話が弾む。