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籠鳥 ~溺愛~
第18章
「高校へ行くにきまってるでしょ? 美冬ちゃん本人が『やっぱり辞めたくない』って言えば戻れるはずだよ。学校側も休学扱いにしているらしいし」
「………っ」
高柳に強引に手を引かれ玄関へと辿り着く。
がちゃり。
扉が開かれ、その隙間からシックに照明の落とされた廊下がのぞく。
ぞくりと背筋に寒気が襲った。
(いっちゃ、駄目――
私は鏡哉さんとここにいたいの――!!)
美冬は渾身の力を込め、高柳の腕を振り切った。
「え……?」
あっけにとられた様子の高柳を両手で扉の外へ突き飛ばすと、勢いよく扉を閉めた。
自分でも不思議なくらい強い力が出た。
「美冬ちゃんっ!?」
扉が外からどんどんと叩かれる。
「帰って! 帰ってください!!」
美冬は声を張り上げてそう叫ぶ。
その迫力に圧倒されたのか、扉が叩かれる音が途絶える。
数十秒後、聞こえてきた高柳の声は低く落ち着いていた。
「……美冬ちゃん、駄目だよこのままじゃ。ちゃんと自分の心と向き合って――」
「………」
「夕方、また来るから」
その言葉を最後に、扉の向こうは静まり返った。
美冬は扉に手を添えながら、ずるずるとその場にしゃがみこんだ。