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籠鳥 ~溺愛~
第26章                     

「でもいつも6位〜10位で、5位以上になったことないよ?」

「十分だよそれで〜」

 く〜っと悔しそうに呻いた皐月とロビーに辿り着き、そこを抜けて食堂へと向かう。

 するとロビーのテレビの周辺に人だかりが出来ていた。

「何、なに〜?」

 好奇心旺盛な皐月が人だかりにすっ飛んで行く。

 しょうがなく美冬もその後に続いた。

「あ、皐月だ。あのね、歌手のセリナが熱愛発覚だって」 

「え〜〜っ!」

「皐月、セリナのファンだもんね」

「そう、大ファン! で、お相手は?」

 食い入るようにテレビを見つめた皐月に続き、美冬もテレビに視線を移す。

 一瞬だけだったが白黒の写真が画面に映し出されているのが目に入った。

「あ、消えちゃった〜」

「さっきまでやってたんだけど、どっかの御曹司だって。綺麗な男の人だったよ」

 どくん。

 美冬の心臓が大きな音を立ててその存在を主張する。

「え〜またやらないかな」

 皐月はリモコンでほかのチャンネルに変えてみるが、そのニュースは他の局ではやっていないようだった。

「あ、おばちゃん達、週刊誌持ってるんじゃない?」

 皐月と一緒に騒いでいた生徒が、食堂のほうを指さす。

「そだね! 行こ、美冬」

 皐月に手を掴まれ食堂に入る。

 配膳係以外のおばちゃん達は洗い物をしたり、休憩をしたりしていた。

 その中で仲のいい一人に週刊誌を持っていないかと声をかけると、きょう発売の週刊現在を貸してくれた。

 見出しには『歌手のセリナ、一般男性と熱愛!!』と出ていた。

「ビンゴ!」

 皐月が嬉しそうにページを繰っていく。

 その隣で、美冬は制服のスカートを両手で握りしめていた。

(まさか……いや、でも、あの横顔――)

 先ほどちらりと見えたテレビの中の写真に、嫌な予感がする。

「あった! ひゃあ、超イケメン!」

 皐月が美冬の前に開いたページを指さして見せる。

「ふんふん、ええと、熱愛のお相手は日本を代表する電化製品会社とテレビ局等を傘下にもつ新堂ホールディングの御曹司……おお、玉の輿」

「………」

 さあと頭の先から血の気が引いていく音が聞こえるようだった。

「そっかセリナってこの会社のCMタイアップしてるもんね。それで知り合ったのかな?」

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