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籠鳥 ~溺愛~
第3章   



 それから一年間――。

 鏡哉は過干渉とまではいかないまでも、美冬のことを心配するあまり色々と世話を焼きたがった。

 あまりに酷い時は美冬の印籠、

「私、子犬じゃないんだから、自分でできます〜〜!」

をかざせば、鏡哉も思いとどまってくれていた。

 規則正しい生活を送っているのに、美冬の身長は変わらず小さいままで、体重も少しだけ増えたくらい。

 胸に至ってはまな板だった一年前に比べ、なんとかBカップになったが、どうやらこれ以上は成長してくれないらしい。

 同級生の女子達と見比べると、顔も童顔な美冬は、やはりまだ中学生のように子供っぽかった。

「う゛〜〜ん……」

 いつものように鏡哉に髪を乾かしてもらいながら、美冬は唸る。

「うん? 熱い?」

 背中越しに心配した鏡哉が尋ねてくる。

「いえ、気持ちいいです」

「じゃあ、何?」

「う〜〜ん、私、見た目こんなのじゃないですか?」

「こんなの?」

「子供っぽいっていうか――」

「ああ、ロリ専?」

 聞きなれない言葉に、美冬が首だけで振り返る。

「ロリ……なんですかそれ?」

「ロリータ専門」

 ぐさ。

(ロ、ロリータ……鏡哉さんから見ても、そこまで子供っぽいのか、私)

「どうして今になってそんなことを気にするの?」

「いえ、なんとなく……」

「でも美冬ちゃん可愛いし、モテそうだけれど」

「モテ……はしないです」

「告白されたりしない?」

 実は美冬は2ヵ月に一回は告白されていた。本人は気づかないが、世の中にはロリ専が結構いるのだ。

「う〜ん、たまにされますけど」

「え、されるのか?」

「え、ええまあ」

「今付き合ってるヤツは?」

「い、いませんよ、そんなの!」

 実は恋に奥手な美冬は初恋もまだだった。

「ふ〜〜ん……」

 鏡哉はそう呟くと、少し不服そうな返事をする。

 美冬が少し首を傾げて首だけで振り返ると、頬に柔らかい何かが触れた。

 チュ。

 可愛らしいリップ音を立てて、鏡哉が唇を離す。

(……え?)

「美冬ちゃんは、私のもの」

「……へ?」

 凍り付いて動かない美冬をいいことに、鏡哉は座っていたソファーの自分の膝の上に美冬を抱え上げた。

「私の可愛い子犬を他の男にとられるなんて、許せない」


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