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籠鳥 ~溺愛~
第2章
(こんな機会を与えてくれた鏡哉さんの期待に応えられるよう、完璧な家政婦を目指そう――!)
美冬はそう決意し、バスルームから出た。
しかし――。
(いや、違うな……)
美冬は先ほどの『鏡哉が自分を保護した理由』を頭の中で全否定した。
今の状況を説明できる鏡哉の気持ちはただ一つ。
(きっと、鏡哉さんは子犬を飼いたかったんだ)
ブォーっというドライヤーの音と優しく髪を梳く大きな手を感じながら、美冬は小さくため息をつく。
先ほど生乾きの髪でバスルームを出た美冬に、鏡哉が「私が髪を乾かす」と言い出して聞かなかったのだ。
数分で完璧に乾かした鏡哉は、次は念入りにブラッシングをしてくれる。
「うん、サラサラで気持ちいい」
背中まである長い黒髪を丁寧に扱ってくれる鏡哉が満足そうにつぶやく。
「そ、そうですか?」
「ああ、完璧だ。明日からも私が乾かすから」
「ええっ!?」
「これ、命令」
「は、はあ……」
美冬はあっけにとられてそう返事をするしかなかった。
「さ、子供はそろそろ寝る時間だよ、おやすみ」
鏡哉にぽんと頭を叩かれ、美冬は言われた通り、自分の部屋で床についた。