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籠鳥 ~溺愛~
第12章
美冬は目を覚ますと、リビングのソファーの上に横たわっていた。
そこから見える外の景色は、もう夜のものだった。
「わたし……?」
自分の置かれている状況が把握できず、美冬は上半身を起こす。
さらり。
明らかに制服とは違う肌触りの服に目を向けると、それは誕生日に鏡哉からプレゼントされたシルクのワンピースだった。
どこからかシャンプーの香りがし、自分の長い髪をクンクンと嗅いでみると自分の香りだった。
意識を失っている間に鏡哉にお風呂に入れられたのだと思うと、さっと頬が火照る。
後ろに人の気配を感じたと思うと、ふわりと後ろから抱きすくめられた。
「気が付いた?」
鏡哉の優しい声が鼓膜を震わす。
まるで恋人にするように抱擁され、美冬は訳が分からなくなる。
「き、鏡哉さ――」
呼びかける美冬を遮るように、鏡哉が口を開く。
「お腹空いただろう? 美冬ちゃんの好きなリゾット作ったよ」
耳をペロリと舐められ、美冬の華奢な体がぴくんと震える。
「んっ」
「美冬ちゃんは食いしん坊だから、一杯食べなさい」
そう言って体を離した鏡哉に、美冬はばっと起き上がった。しかし、
くにゃり。
美冬の足は言うことを聞かず、絨毯敷きの床に崩れ落ちる。
「ああ、駄目だよ無理しちゃ」
鏡哉はくすりと笑って美冬の体を抱き起し、ソファーに座りなおらせる。
鏡哉が美冬の耳元に顔を寄せる。
「あんなに何度もイったんだ。立てるわけないだろう?」
艶っぽい声に美冬の背筋がぶるりと反応する。
真っ赤になった美冬を、鏡哉はさも面白そうに見つめる。
「わ、私、帰ります!」
ソファーの上で後ずさりする美冬に、鏡哉がまたくすりと笑う。
「何言っているんだ美冬、君の家はここじゃないか」
「何、言ってっ!!」
鏡哉の意味の分からない発言に、美冬はまじまじと鏡哉の顔を見つめなおす。
その表情はまるで言うことを聞かない我儘な子供に、噛んで言い含める大人の表情だった。
「………」
美冬は絶句して、固まった。
その美冬の両手をさっと拘束した鏡哉は、シャツの胸ポケットに入れていた深紅のベルベットのリボンをその腕に巻いて拘束した。
「や、鏡哉さん! 何を!」
「君の肌の色に映える様に選んだんだ。奇麗だろう――?」