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籠鳥 ~溺愛~
第13章
小さな唇からこぼれてしまったその黄金色の液体を、鏡哉の舌がぺろりと舐めあげる。
その行為だけで美冬の体がピクリと反応する。
くすり。
半身を預けた鏡哉の体から、笑いが降ってくる。
「可愛がってあげたいんだけど、会社に行かなくてはならないんだ」
鏡哉はそう言って美冬をベッドの中に戻すと、立ち上がった。
その姿はいつものスーツに包まれている。
「私……帰ります」
美冬はまだぼうとしながらも、そう決心を口にする。
「駄目だよ」
それまで優しい顔をしていた鏡哉の顔が、美しい男の表情に変わる。
「この部屋には外から鍵を掛ける。私が戻ってくるまで、いい子にしているんだよ」
鏡哉はそう恐ろしいことをさらっと言い渡すと、美冬から遠ざかっていく。
「き、鏡哉さん! 待ってっ!! 鏡哉さんっ!!」
美冬はベッドの中から大声で叫んだが、鏡哉は振り返りもせず部屋から出て行ってしまった。
がちゃりと鍵をかける音が外から聞こえる。
信じられない美冬は、うまく動かない体に鞭を打ってベッドから這い出した。
よろよろとよろめきながらドアにたどり着くと、ドアノブを回す。
「………っ!」
それはびくりとも動かなかった。
信じられなかった。
あんなに優しい鏡哉が、自分をここに監禁しようとしているなんて。
「鏡哉さんっ! 鏡哉さんっ!!」
美冬はどんどんとドアをたたくが、もともとがしっかりした作りの重厚なドアはびくともしない。
足ががくがくと震え、床にへたり込んでしまう。
美冬は零れてくる涙をぬぐうことなく、鏡哉を呼び続けた。
(このままでは、あの人が辛くなる――鏡哉さんはこんなことする人じゃない!)
美冬の拳がだらりと下がる。
(私のせいだ。私がキスを強請(ねだ)ってしまったから――!)
あそこからすべてが狂い始めたのだ。
ただ、好きになっただけだった。
あの人を――鏡哉を好きになっただけだった。
それなのに、もう、
どうすればいいのか、分からない――。