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籠鳥 ~溺愛~
第13章
美冬は億劫そうにそれを一口飲むと口を開いた。
「もう、やめて下さい。こんなこと――」
「こんなこと?」
問い返すと、美冬は苦しそうな表情でこちらを見つめてきた。
赤く潤んだ瞳に見詰められるだけで、鏡哉の雄がぞくりと反応する。
「こんなこと、鏡哉さんが傷つくだけ……」
「私が?」
「鏡哉さんは、こんなことする人じゃない。私の――」
美冬がそこで言葉を区切る。
「私のせいだって、分かってます。私が、悪いんです。私が……」
「そうだ。美冬がキスを強請ったから悪いんだ」
鏡哉は美冬の言葉を遮ってそう言い放った。
びくりとした美冬の瞳に涙が盛り上がり、一杯になって零れ落ちる。
「ご、ごめんなさい――」
「許さない」
鏡哉の厳しい言葉に美冬は言葉につまり、部屋には沈黙が落ちる。
「――――き」
沈黙を破った美冬が何かを呟くが、声がかすれて聞き取れない。
「………?」
「好き、なんです、鏡哉さんのこと――」
「………」
「好き――」
美冬は涙を零しながら、まるで訴えるように鏡哉に呟く。
リボンの跡が少し残った細い腕を伸ばし、鏡哉のシャツの袖を握りしめてくる。
「………」
鏡哉は美冬の膝の上のトレーをサイドテーブルに避けると、その大きな掌で美冬の両頬を包んで自分と視線を合わせた。
美冬の涙が掌を伝ってベッドにぱたりと零れ落ちる。
「知っているよ、そんなこと」
「………え?」
美冬が戸惑った表情で鏡哉を見返す。
「美冬は好きでもない相手に自分の体を開く程、器用でもないこともね」
「………」
「もちろん――」
鏡哉は頬から手を放すと、美冬の腕を手に取り痣が残った腕にキスを落とす。
「私も君のことを好きだ――いや違うな……愛している」
「………!」
何にそんなに驚いているのだろう、美冬は絶句し硬直していた。
「私だって愛してもいない相手をここまで抱いたりしない。っと言っても自分の気持ちに気づいたのは……そう。美冬が可愛らしく『めちゃくちゃにして』っておねだりしてくれた時だったが」
美冬の頬がさっと朱に染まる。
「あの時までは、私は美冬の保護者として君を慈しんできたはずだよ。それを君が壊した」