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籠鳥 ~溺愛~
第14章
「な、なんですか! キスしたじゃないですか!」
美冬は熱くなった頬を両手で隠し、訴える。
「まったく美冬は教育のし甲斐があるな。キスといえばせめて――」
鏡哉が屈んで美冬の唇に自分のそれを重ねる。
柔らかいそれに表層を啄まれると、美冬の心臓がトクトクと高鳴る。
舌で下唇を撫で上げられその気持ちよさに吐息を漏らすと、その唇の隙間から鏡哉の舌が入り込み――と思ったがそれは引き抜かれて、ちゅっと音を立てて美冬から離れた。
「まあ、これくらいのキスはしてくれないとね」
美冬は薄く唇を開いたまま、鏡哉をぽーっと見上げてしまう。
「うん? もっとされたかった?」
鏡哉が意地悪そうな笑みでそう聞く。
我に返った美冬はぶんぶんと首を振る。
「ふ、これ以上したら止められなくなるからね」
そうさらりと言った鏡哉は、美冬の瞼の上にチュッとキスを落とし、上半身を起こした。
上掛けがさらりと落ち、引き締まった腹筋が露わになる。
鏡哉は寝るときは何も身に着けない。
美冬はぱっと視線をそらすと、ようやくベッドから抜け出した。
自分の着替えがないので鏡哉の白いシャツを借りていたのだが、このままでは足が丸見えだ。
鏡哉から送られたワンピースの数々はあるがそのどれもが上質のもので、朝食を作っていて汚してしまったら大変なことになる。
美冬はしょうがなくシャツの上からエプロンをつけ、キッチンで朝食の準備をしだした。
シャワーを浴びたらしい鏡哉が、バスローブを羽織ってキッチンにやってくる。
「今日は何?」
「鏡哉さんに教えてもらった、トマトのオムレツにします」
美冬はそう言いながら、フライパンの柄をトントンと叩く。
そうすると綺麗にオムレツが出来るのだ。
皿に盛りつけて鏡哉のいるダイニングに運ぶと皿をテーブルに置いた瞬間、鏡哉に腰を絡め捕られた。
「そんな恰好で、朝から私を誘惑しているのか?」
シャツからむき出しの太ももを撫で上げられ、美冬の体がピクリと反応する。
「違います! だって着替えがないんだもん。鏡哉さん、アパートに荷物取りに行ってもい〜い?」
美冬はなるべく可愛く見えるようにそう言い、上目使いに鏡哉におねだりする。