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婚約者の帰還(くすくす姫後日談・その1)
第1章 婚約者の帰還

「うふふふふ、ふふふふふ…っ」
「…おい。こんなとこで何やってんだ」
「ふえっ?!」
なんということでしょう。
昨日のことを思い出してくすくす笑いながら待っているうちに、まだ遠かった人影が、傍に来てしまっておりました。
これが姫ならまだ辿り着いていない距離のはずでしたが、背の高さも脚の長さも歩く早さも違うのですから、こうなったのも道理です。
「…びっくりさせようと思ったのにー。歩いてくるの、早すぎるよー…」
サプライズが失敗した姫がしょんぼりしていると、さっきまでは人影だった婚約者が、不機嫌そうに言いました。
「そりゃ当たり前だろ。急いで帰って来たからな」
「…そこまで急がなくっても」
「早く会いたかったんだが、駄目か」
心外そうに言われた姫は、顔を上げて、首をふるふる振りました。
「ううん、全然だめじゃないっ!!!私も早く会いたくて、ここで待ってたの!」
姫はそう言うと婚約者に抱きついて、婚約者は姫の髪を撫でました。
「…ただいま、スグリ」
「お帰りなさい!!サクナ」
九日ぶりに会った二人は、顔を合わせて微笑むと、ちゅっと唇を合わせました。
「…長旅で、汚れてるぞ」
そのままぎゅうぎゅう抱きついて来たスグリ姫を撫でながらサクナが言いました。
「いいもん、汚れても」
「埃っぽくねぇか」
「いいもん、埃っぽくても」
「良かねぇよ」
彼はそう言うと、いつもより手の込んだ結い方になっている、スグリ姫の髪を撫でました。
「髪も服も、せっかく綺麗にしてるのに、お前も汚れちまうだろ」
「サクナっ」
姫はキッとサクナを見上げました。
「私に触りたいのより、汚れるほうが心配なの?」
「んな訳無えだろ。触りたすぎて夢に出てきたくらいだぞ」
じゃあぎゅってして。と言われ、サクナは諦めました。
自分だってそうしたいと思っていたのですから、姫のおねだりを断ることは、本当は難しかったのです。
「うふふ、サクナの匂いがする」
「そうか?汗臭ぇだろ」
「ううん。いい匂い」
もう一度ぎゅっと抱きついた姫が、急に変な顔をしました。
「…固くなってる場所が違う…」
「は?」
「ここ、何かある?」
懐を指差され、サクナはそこにしまってある物のことを思い出しました
「ああ、そうだ」
姫を抱きしめる腕を緩めて、にやっと笑って言いました。
「お前の部屋に戻る前に、厨房寄って良いか?」
「…おい。こんなとこで何やってんだ」
「ふえっ?!」
なんということでしょう。
昨日のことを思い出してくすくす笑いながら待っているうちに、まだ遠かった人影が、傍に来てしまっておりました。
これが姫ならまだ辿り着いていない距離のはずでしたが、背の高さも脚の長さも歩く早さも違うのですから、こうなったのも道理です。
「…びっくりさせようと思ったのにー。歩いてくるの、早すぎるよー…」
サプライズが失敗した姫がしょんぼりしていると、さっきまでは人影だった婚約者が、不機嫌そうに言いました。
「そりゃ当たり前だろ。急いで帰って来たからな」
「…そこまで急がなくっても」
「早く会いたかったんだが、駄目か」
心外そうに言われた姫は、顔を上げて、首をふるふる振りました。
「ううん、全然だめじゃないっ!!!私も早く会いたくて、ここで待ってたの!」
姫はそう言うと婚約者に抱きついて、婚約者は姫の髪を撫でました。
「…ただいま、スグリ」
「お帰りなさい!!サクナ」
九日ぶりに会った二人は、顔を合わせて微笑むと、ちゅっと唇を合わせました。
「…長旅で、汚れてるぞ」
そのままぎゅうぎゅう抱きついて来たスグリ姫を撫でながらサクナが言いました。
「いいもん、汚れても」
「埃っぽくねぇか」
「いいもん、埃っぽくても」
「良かねぇよ」
彼はそう言うと、いつもより手の込んだ結い方になっている、スグリ姫の髪を撫でました。
「髪も服も、せっかく綺麗にしてるのに、お前も汚れちまうだろ」
「サクナっ」
姫はキッとサクナを見上げました。
「私に触りたいのより、汚れるほうが心配なの?」
「んな訳無えだろ。触りたすぎて夢に出てきたくらいだぞ」
じゃあぎゅってして。と言われ、サクナは諦めました。
自分だってそうしたいと思っていたのですから、姫のおねだりを断ることは、本当は難しかったのです。
「うふふ、サクナの匂いがする」
「そうか?汗臭ぇだろ」
「ううん。いい匂い」
もう一度ぎゅっと抱きついた姫が、急に変な顔をしました。
「…固くなってる場所が違う…」
「は?」
「ここ、何かある?」
懐を指差され、サクナはそこにしまってある物のことを思い出しました
「ああ、そうだ」
姫を抱きしめる腕を緩めて、にやっと笑って言いました。
「お前の部屋に戻る前に、厨房寄って良いか?」

