この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
婚約者の帰還(くすくす姫後日談・その1)
第4章 復習と上書き

「ん?どうした?」
なぜか声を上げたスグリ姫に、サクナは何の気なしに尋ねました。すると姫は、はっとしたようにこちらを見たあと、真っ赤になって、ぱっと顔を伏せました。
「なんでもないっ、大丈夫っ」
どう見てもなんでもなくなさそうな姫の様子に、サクナは周りを見回しました。
「…ああ。」
姫が顔を伏せる前の視線のちょうど先には、姫の鏡台がありました。
「…あれに映ってんのが、見えたのか?」
この位置に座ることは滅多にありませんが、今日は「復習」するために都合の良い、ここに座っていたのです。
思わぬ自分の様子をふいに見てしまい、姫が恥ずかしがっている…のかと思いましたが、それにしては態度が不自然です。
「…もしかして」
そう言っただけなのに、スグリ姫はサクナの腕の中で、びくっと体を震わせました。
「これも、誰かと、ヤッたのか?」
「…っ!!」
耳元で囁くと、姫は体を固くして、真っ赤になった顔を背けました。それから言葉で応えずに、頭をふるふる振りましたが、それで納得するような相手ではありません。
「…お前は、ほんっとに、嘘が吐けねえな…」
部屋を見回すと、日が暮れてきているのが分かりました。鏡に像がはっきり映る時間は、過ぎています。
「もう暗くなるし、今日はお前の言うこと聞くって約束したしな。」
サクナは姫の髪に唇を付けて、言いました。
「…ちょっと癪だが、これの上書きは、今度シような。」
「っ!」
その言葉に反応してしまったスグリ姫は、「お前の望みを全て叶える、暗くても出来る別の上書き」を施され、婚約者の無事の帰りを祝う晩餐を欠席する羽目に陥ります。…が。
それはまた、別のお話。
なぜか声を上げたスグリ姫に、サクナは何の気なしに尋ねました。すると姫は、はっとしたようにこちらを見たあと、真っ赤になって、ぱっと顔を伏せました。
「なんでもないっ、大丈夫っ」
どう見てもなんでもなくなさそうな姫の様子に、サクナは周りを見回しました。
「…ああ。」
姫が顔を伏せる前の視線のちょうど先には、姫の鏡台がありました。
「…あれに映ってんのが、見えたのか?」
この位置に座ることは滅多にありませんが、今日は「復習」するために都合の良い、ここに座っていたのです。
思わぬ自分の様子をふいに見てしまい、姫が恥ずかしがっている…のかと思いましたが、それにしては態度が不自然です。
「…もしかして」
そう言っただけなのに、スグリ姫はサクナの腕の中で、びくっと体を震わせました。
「これも、誰かと、ヤッたのか?」
「…っ!!」
耳元で囁くと、姫は体を固くして、真っ赤になった顔を背けました。それから言葉で応えずに、頭をふるふる振りましたが、それで納得するような相手ではありません。
「…お前は、ほんっとに、嘘が吐けねえな…」
部屋を見回すと、日が暮れてきているのが分かりました。鏡に像がはっきり映る時間は、過ぎています。
「もう暗くなるし、今日はお前の言うこと聞くって約束したしな。」
サクナは姫の髪に唇を付けて、言いました。
「…ちょっと癪だが、これの上書きは、今度シような。」
「っ!」
その言葉に反応してしまったスグリ姫は、「お前の望みを全て叶える、暗くても出来る別の上書き」を施され、婚約者の無事の帰りを祝う晩餐を欠席する羽目に陥ります。…が。
それはまた、別のお話。

