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婚約者の帰還(くすくす姫後日談・その1)
第3章 土産とご褒美

「すごーい…切っても綺麗…」
切った断面に現れた種と果肉が描く美しい模様を見て、姫は思わず言いました。
「これ、耳飾りとかにできないかしら」
「ぶっ…!」
スグリ姫に褒められすぎて足が地に着かない気分になりかけていたサクナは、姫が真剣な顔で言った言葉に吹き出して、めでたく地上に戻ってきました。
「そんなことしたら、顔も髪もべたべたになるぞ。食うために作ったんだ、食うのが一番いい。」
そして、半分になったイチジクを、厨房から借りてきた銀のフォークに刺すと、姫の方に差し出しました。
「…ほら、口開けろ。」
「ん。いただきます」
サクナは婚約者が素直に開けた桃色の口の中に、イチジクを一切れ、入れてやりました。
すると、スグリ姫は無表情になって目を見開いて、イチジクをもぐもぐ食べていたかと思うと、コクンと飲み込んで、固まりました。
「…どうだ?口に合うか?」
こんなに無表情になるなんて、もしかしてイチジクは嫌いだったのだろうかと、サクナは今更はらはらしました。
「か…」
「か?」
(『か』?!『おいしい』とかじゃねえのか!?)
固い辛い痒い噛みにくいという単語がサクナの頭の中を瞬時に駆け抜けましたが、姫が口にしたのは、そのどれでもありませんでした。
「かみわざっ…!!!!!」
「え」
予想外の感想にサクナが固まっていると、姫はもう一本有ったフォークを手に取って、残った半分にぷつりとフォークを刺しました。
イチジクのプリザーブにフォークを差すと、薄いけれども張りの有る皮が破れる感触と、その中の柔らかではあるけれどみっちり詰まった果肉の感触が伝わってきます。
スグリ姫は、フォークをそっと持ち上げて、イチジクを舌の上に乗せました。
切った断面に現れた種と果肉が描く美しい模様を見て、姫は思わず言いました。
「これ、耳飾りとかにできないかしら」
「ぶっ…!」
スグリ姫に褒められすぎて足が地に着かない気分になりかけていたサクナは、姫が真剣な顔で言った言葉に吹き出して、めでたく地上に戻ってきました。
「そんなことしたら、顔も髪もべたべたになるぞ。食うために作ったんだ、食うのが一番いい。」
そして、半分になったイチジクを、厨房から借りてきた銀のフォークに刺すと、姫の方に差し出しました。
「…ほら、口開けろ。」
「ん。いただきます」
サクナは婚約者が素直に開けた桃色の口の中に、イチジクを一切れ、入れてやりました。
すると、スグリ姫は無表情になって目を見開いて、イチジクをもぐもぐ食べていたかと思うと、コクンと飲み込んで、固まりました。
「…どうだ?口に合うか?」
こんなに無表情になるなんて、もしかしてイチジクは嫌いだったのだろうかと、サクナは今更はらはらしました。
「か…」
「か?」
(『か』?!『おいしい』とかじゃねえのか!?)
固い辛い痒い噛みにくいという単語がサクナの頭の中を瞬時に駆け抜けましたが、姫が口にしたのは、そのどれでもありませんでした。
「かみわざっ…!!!!!」
「え」
予想外の感想にサクナが固まっていると、姫はもう一本有ったフォークを手に取って、残った半分にぷつりとフォークを刺しました。
イチジクのプリザーブにフォークを差すと、薄いけれども張りの有る皮が破れる感触と、その中の柔らかではあるけれどみっちり詰まった果肉の感触が伝わってきます。
スグリ姫は、フォークをそっと持ち上げて、イチジクを舌の上に乗せました。

