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陽向の恋
第8章 エピローグ

 それから数時間千景君はアパートに居座り、上機嫌で帰っていった。残された陽向は、リビングのソファに座ったまま疲れきった顔をしている。

「はあ……どうしよう……やっぱり、あいつ苗ちゃん目当てで……」

「そんなわけないでしょ!挨拶しに来ただけって言ってたじゃん!」

「でも見ただろ?苗ちゃんに会えた時の、千景の嬉しそうな顔!」

「千景君は、陽向に会えて嬉しかったんだよ」

「そんなわけない!あいつは!」

 陽向の隣に座り、何でそこまで心配するのか不思議に思った。だが、陽向の一言で深刻な雰囲気も一変し、私はクスッと笑う。

「苗ちゃん、癒して……」

 仕方ねぇな――

「好き好き好き……絶対千景に負けないから」

 勝手に変な想像してるな――

「俺には苗ちゃんだけだよ」

 知ってる――

「苗ちゃんに出会えて良かった」

 私も――……

 そのまま陽向の頬へ口付け、私は陽向の頭を撫でる。これから何があるか分からない。だけど、不安に思うことはない。

「勿体ないでしょ?折角今が幸せなのに。何で不安な将来を思い浮かべるの?」

 今幸せ。それで十分だよ。そう続けて私が陽向をソファへ押し倒すと、陽向は一瞬驚いた様な顔をしたが。不安も吹っ飛んだかの様に笑顔で、普段の陽向らしく私の胸へ顔を埋めた。

「一生苗ちゃんについていきます!」



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