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王家の婚礼(くすくす姫後日談・その2)
第1章 婚礼前夜

「お針子さんは見たのかしら、裸。」

「…姫様。」
そこで、とうとう、バンシルの堪忍袋の緒が切れました。

「そのお針子は、男ですよ!くだらない焼餅焼くのやめて、もう寝てください!
明日は、ハンダマ様の婚礼当日なんですから!!!」

「…はーい。」
遂にバンシルに怒られたスグリ姫は、しぶしぶ布団に入りました。

「ねえ、バンシル。畑と鶏のお兄さんの赤ちゃん、もう大きくなった?」
「まだ首が据わるか据わらないくらいですよ。首がしっかりして安心して抱っこできるくらいになったら、また帰ろうかと思ってますから」
その時は姫も一緒に行くという約束が、前に交わされておりました。
「会えるの、楽しみだなー」
「そうですね。今日はもう、そのことでも考えて、ゆっくりおやすみなさいませ。」
「うん。おやすみ、バンシル。」

姫は、そう言って目を閉じましたが。
(うわあ…やっぱり無理…かっこよすぎて、寝れないよー…)

目を閉じると、開いている時より鮮明に、今日見てしまった正装の婚約者が、瞼の裏に浮かんで来てしまいます。

スグリ姫は時々悶えながらも、少しずつ少しずつ、甘やかな眠りに落ちていきました。
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