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異形疾病
第3章 空港にて
職員たちは蛇口にシャワーホースを装着し、順番に体を洗い始めた。
シャワーを浴びながらしごいてもう一度抜いている者もいる。

私は室内の換気扇を回すと、もう一つの蛇口にホースをはめ込み、さっきまで山盛りの糞便が乗っていたビニールシートを洗剤で洗って片付けた。
ベッドも丸ごと洗い、例の先端にライトのついた器具も洗った。
床がタイル張りで僅かに傾斜がついており、水を潤沢に使えるため清掃作業はしやすかった。

「洗った後、全体のアルコール消毒までお願いしますね」
ベテラン女性職員は一足先に部屋を出ていった。

男性職員たちがシャワーを終えて着替えて部屋を出ていくと、私は急ピッチで残りの清掃作業を進めた。
いつ次の患者が検査室に連れてこられるかもしれないので、決められた作業時間はとても短い。
最後に床をすべて綺麗に洗い、至るところをアルコール消毒で拭いてまわって完了した。


休憩のため、一旦事務所に戻ろうと清掃道具の台車を押して部屋を出た私は、エスカレーターを降りた空港ラウンジに先ほどの女性患者の姿を見つけた。
ラウンジには大勢の利用客がいたが、彼女の周りだけ人の波が避けている。
まだうまく歩けないようだ。
ついさっきまで集団輪姦の餌食になっていたのだから、無理もない。

私は清掃道具の台車を押して一旦事務所へ戻り、急いで彼女がいたあたりに戻ってみた。

彼女はさっき見たのとあまり変わらない場所に立ち尽くしていた。

「大丈夫ですか?」

これ以上彼女を怖がらせたくなかった私は、彼女の前方へ回り込み、まず視界に入ってからゆっくり近づいて声をかけた。
それでも彼女はビクッとして私を見た。
検査室を出たときのまま、鼻や口から鼻水やゲロ混じりの体液を垂らしている。
鼻呼吸がうまくできないのだろう、口は半開きで、よだれは垂れ続けている。
体はまだ小刻みに震えていた。

とにかく行き先を尋ねると、彼女は口をパクパクさせながら

「…あぁぁ…ぅ……ぁ…かぇり……たい……」

と言った。
喋ると右の鼻の穴からドロッと白濁した液体が溢れ、肥大してせり出した自らの巨大な陰核の上にぽとりとこぼれ落ちた。

一人で帰らせるのは心配に思い、私はタクシー乗り場まで彼女をゆっくり連れて行った。
途中、洗面所で自分のハンドタオルを濡らしてきて彼女の汚れた顔を拭いてやると、また泣き出した。
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